「あなたは一体どうしたいのですか?」
未来を人に聞くのではなく、問いを自分に向けるべきと著者はいいます。
時代の流れは速く不確かとなり、明文化されたルールが追い付かない。
こんな時代に大切なのは、
「自分自身の価値基準」を持つこと
「人間というものをより深く理解すること」
学ぶことで「人生の選択肢を増やすこと」
そもそもリベラルアーツとは何か。
私の理解は、著書を引用するとこうなります。
「本当に大事な判断をする力や勇気を持って行動する原動力」を身につけるために、
「落ち着いて別の角度からも複眼的に物事を見るリテラシー」を身につけるために、そして
「パースペクティブ(見通し)を持って人間を深く理解できるようになる」ために、必要な学問。
心が震えるような言葉がたくさん散りばめられていて読み応えがあるのですが、私にとっては特に第3章の出口治明氏との対話が刺激的でした。
日本が行き詰っている理由は、
「成長を支えた製造業の工場モデルに過剰適応した、偏差値が高く素直で、我慢強く、協調性があって、上司の言うことをよく聞く人間が量産されてきた」
からだとして、
「もはや製造業では社会全体を引っ張れない状況」
「製造業からサービス産業へと産業構造が変化しているのに、人材も働き方も製造業の工場モデルを続けている」
「サービス業で問われるのは、与えられた課題をこなす力よりも、課題を見つけ出す力、新しいサービスにつながる独創的なアイデアを生み出す力です」
と出口氏は述べています。
製造業に長年身を置く私にとってはとても厳しい言葉ですが、産業構造の変化ということだけでなく、製造業で働くひとりひとりに問われていることではないかと思います。
まだまだわくわくする日々を生きるために、勇気を持って行動する原動力を蓄えよう。萎えそうな自分に言い聞かせています。
自由になるための技術 リベラルアーツ
山口周著 講談社
2023/9/2