日本の社会人はそもそも、学ばない。学びたくないのではなく、学べないのでもなく、学ばない。その事実を「中動態的キャリア」という言葉で説明しています。なるほど。腹落ちします。
「企業は従業員それぞれの個の主体性=WILLを、入社してから20年後、ミドル期ごろになって急に求め始めます。40代や50代になってから「あなたのやりたいことは何か」ということを、「キャリア自律」の言葉を盾にとって突きつけます。」 (113ページ)
確かにね。ほんと、そのままを勤務先で体験している。企業は、学びによって個の主体性を持つことを当たり前のように求めます。学んでこなかったあなたが悪いんでしょ、とでも言いたげに。
でも主体性のなさ全てを「学ばない個人のせい」にするのはどうかなと思う。今の50歳代は、若い頃に「キャリア」なんて考えてこなかった世代です。「キャリア自律」は大切なことだとは思いますが、自律できるように背中を押してくれるような、あたたかい社会であってほしいと願います。
できるなら私は、あたたかい社会であるための力になりたいとも思います。
各章の冒頭に全体の振り返りをしてくれるので、論点が明確で読んでいて迷子にならないと感じました。
リスキリングは経営課題 小林祐児 パーソル総合研究所 著
光文社新書
2023/8/20