なんだか、カウンセリングを受けた後のような、すっきりした気持ちになります。今のままでいいですよ、とそのままの自分を認めてもらえたような。
軽快な文章の中にも、心理学やカウンセリングに関する鋭い視点もあって、読み応えがありました。
「心は変化を好まない」、「そのためにお決まりの方法に固執する」、「変化とは劇薬のようなもの」だから「チビチビ舐めるのが良い」など、安心・安定の日々を送りたい私の気持ちを承認してくれ、
「社交とは、傷つけてくる他者をなんとかいなすためのもの」と言い、新しい出会いに億劫になってくる自分をなだめてくれ、
「現実は超自我よりマイルド」と言い切って、つい自分を責める私の肩を優しく抱いてくれ、
「必要なのは苦しさを自分でなんとかすることではなく、人になんとかしてもらうことだ」と苦しさを言葉にして吐き出すことの大切さを教えてくれ、
「誰かを取り締まってしまうのは、自分が心の中で取り締まられているからだ」と自分の不真面目な部分を許すことが大切だと教えてくれ、
「苦しい気持ちを感じるのが苦しいとき、私たちは周りを苦しくさせる」、「だから、私の心に彼の心を置き、それから彼に戻す」というカウンセリングのやり取りから、「心はどこにあるか?」を考えさせてくれる、など、
自分のモヤモヤを様々なケースを例にして紐解いてくれた、気持ちのよい読み物であった。
『心はどこへ消えた?』 東畑開人著 文春文庫
2025/12/21
