まず、ちゃんと聴く。

「まず」
というのは、伝える前に「まず」聴くこと。

「ちゃんと聴く」
とは、
「社会のルールや規範、私の価値観や常識に照らして、善悪正邪を判断するのではなく、全ての人の全ての言動の背景には、その人なりの肯定的意図があると信じるあり方」
のこと。

「リアルなビジネスの現場でコミュニケーションに悩んでいる人」にとっては、伝えることで頭の中はいっぱいになるけど、「まず、ちゃんと聴く」ということが大切なのですね。

聴くときには、相手の小さな貢献を見逃さずにフィードバックすること。簡単ではないですが肯定的意図によってあぶりだすことができる。そのためには「ちゃんと聴く」こと。聴くことと伝えることのバランスをとること。

カウンセリング技術はコミュニケーションに役立ちますが、聴くことによって相手の気づきを促すだけではビジネスシーンには不十分です。「で、どうするか」というところを理論建てて説明してくれる本だと思いました。

それができれば苦労しない。ただのハウツー本だ。そう言う人がいるかもしれない。でも私はそれ以上のものを感じました。コミュニケーションをまず「聴く」ところからスタートしてみない?という著者の問いかけは、壮大な夢のように感じるからです。

「聴かれる→聴きたい→聴く」という連鎖を作ることが組織の枠を超えて世の中をよくしていく。そんな著者のGiver(与える人=贈与の差出人)としての思想が心地よく共感できました。

まず、ちゃんと聴く。
櫻井将著 日本能率協会マネジメントセンター

2023/12/3

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この記事を書いた人

・キャリアコンサルタント(国家資格)
・2級キャリアコンサルティング技能士
・日本キャリア開発協会会員(CDA)

電気メーカーで技術者として働く。
コミュニケーションスキルを磨くためにカウンセラーの勉強を始めたが、その奥深さにハマり国家資格を取るまでになる。
マンツーマンのカウンセリングを得意とし、ビジネスキャリアの相談や職場の部下指導には定評がある。

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